20数年ぶりに日経ビジネス編集の「会社の寿命」を読んだ。戦後30年の節目に「企業と経営者の生き様」を示したものである。その頃の日本は高成長神話が終焉をむかえ、誰もが企業と自分の立場の先行きに不安を感じていた時代であり、実にタイムリーな企画であった。趣旨は、環境の変化に柔軟に対応することと企業トップのリーダーシップの重要性と言う、かなり当たり前のところに落ち着いている。今読み直すと、いつかは日本はまた盛り返すだろうという前提に立っているようで楽しい。少なくとも現在に至るまでの約30年は大はずれではなかったわけだから。巻末に鉱工業の会社の浮沈が示されているが、それを見るにつけ、トヨタ、新日鐵、松下電器産業は強く、ソニーはすごかったのだと思う。見方を変えると、その時代までは我が国は鉱工業の企業が国を引っ張っていたわけで、その後の30年のサービス業、通信、ITの成長が素晴らしいとは言ってもまだまだどうなるかわからないのだろう。この本が書かれた時代には我が国国内のことを考えていればすんだが、グローバリゼーションの現在はそうはいかず、寿命も30年も保てば御の字の時代かもしれない。
一方、病院、あるいは医院の寿命はどうだろう。最近都内の中堅健診センターの閉院の話をきいた。設立者の逝去と時期的に一致しているようだが、ほんとにそうなのだろうか。いままでの医療経営だと、無床診療所の多くは継承者があればまあまあ安泰。ただし、有床の場合や病院では個人経営の場合はかなり早くから継承者を確保することが求められる。普通の企業では当たり前のことが、病医院ではあまり行われていなかった。