2013年1月28日月曜日

圧倒的な存在感

高村薫氏にニュースキャスターのF氏がインタビューをしていた。その小説の緻密さ重厚さでは圧倒的な高村氏と、頭の回転はかなり良さそうなF氏との会話と言うことで、アルコールも控えめにして頭をクールにして聞き入った。現状の把握が、ご自分自身も含めて困難になってきているのが現在ではないか、と言う風に僕には聞こえたが、もしそうだとしたら、それは、過去の総括がなされない、できない状態が続いていることを意味するのではないか。徹底的に調査をし、執筆に際しては推敲に推敲を重ねてあの素晴らしい小説群を作り出してきた高村氏にして、そのように考えているのであれば、僕を含めて多くの人にとってわからないことが多すぎるのも無理はない。ここで視線をF氏に移すと、このお人は、数十秒単位で話を切り替えることを生業にしてきたようなもので、時間が来れば把握も総括もなく、悲劇の次は喜劇でも天気予報でも同じように振ることで仕事をしている。圧倒的な存在感の高村氏に比べて、その存在感の希薄さが目立つばかりだった。そういえば、スタジオでF氏の問いかけに答えるコメンテーターの方々も、「そうですね」「そうですよね」でセリフを始めてやはり数十秒で切り上げるテクニックを身につけてしまっており、同類なのだと納得する。もちろん僕もその影響から逃げ延びているはずもない。でも、このあたりで自分と周囲を見直し、多少なりともまとめを作って次のステップに進むことが必要なのかと思う。

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