かつて、五月が近づくと松戸の住まいでは庭にこいのぼりを高く上げ、十畳の部屋の片隅に端午の節句の鎧兜を飾り付けるのが通例だった。家紋を染めた陣幕と旗指物を背後に、偉そうな鎧兜が中央に陣取る姿は子供心にはとても迫力があった。着たりかぶるほどのサイズではないから見て驚くしかなかったけれど、付属の太刀脇差は格好の遊び道具で、今でも残っているのが不思議なくらいだ。というわけで、30年ぶりに日の目を見た端午の節句の飾りつけは、あちこちに小さなほころび、欠けはあるものの、飾ってしまえばなかなか立派な姿であった。息子の時の兜、孫のためにゲットした一刀彫の鍾馗様と、時代の変遷に従い急速に小型化しているが、昨今の住宅状況に合わせた結果である。
案の定、息子の家への移設はあっさり拒否された。見に来る日取りを決めてくれただけでもいいほうなのだろう。
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