2014年1月16日木曜日

新年最初の理事会で、特定接種というお題をいただいた。実は、昨年の秋にも同じ表題の資料を受けていたのだが、その時はよくわからず結局喫緊の案件ではないと考えてスルーしたのだった。スルーしても幸い何も起こらず年が明けたが、今回の資料は無視できない雰囲気が湯気のように立ち上がっている。新型インフルエンザ等特措法から勉強をし直すと、新型インフルエンザが流行した場合に起こりうる社会秩序の崩壊と国民経済の停止による被害を最小限にとどめるための方策の一つとして、社会インフラを担う人たちに予防接種を優先しておこなう。これを特定接種と名付けている。この接種を受ける人たちにも優先順位があり、医療関係を筆頭に、関連する公務員の一部、公共機関と続き、小売業も含まれる結果、100万を超える事業が対象に含まれているみたいだ。ということは、人数で表現するならおよそ1000万人くらいが対象か。有疾患、乳幼児、高齢者といったハイリスク者はその後になっている。現在備蓄されているプレパンデミックワクチンが3000万人分あるので、数の上では満ち足りているみたいであるが、これらのワクチン製造に用いられたウイルス株が、将来流行するウイルスと同じである可能性はそれほど高くないだろう。H5N1には効いても、H7N9にどのくらい効くのかわからない。しかも、実際に流行を食い止めるには60-70%に接種する必要があるとされており、1000万人に接種できたとしても不十分なのかもしれない。スイス、アメリカは全国民数を備蓄したとのことであるが、我が国はどのくらいの勝算なのだろうか。また、パンデミックワクチンは速やかに製造できるのだろうか?有効期限を7年から10年に増やすという裏ワザ(そんなの有りか?!)で増やしたタミフルの備蓄も計算に入れれば少しは安心できるのかもしれないが、まだまだ不確定要素が多い。我々現場にとっての心配の一つは、流行が始まった場合、多くの事業者が接種を希望して殺到すると対処しきれなくなる可能性が高いことだ。事前に締結するようになっているらしい事業者と医療機関との覚書があったとしても、ワクチンの量が不足している場合、どのように被接種者を選別するのか。まだまだ問題ありだ。

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