銀座の画廊で気に入って購入した絵が届いた。上海でも活動を活発化させている
伊澤真弓画伯の最新作である。朝なのだろう、尾根の稜線の近くにしか陽の光が届いていない時に、わたすげの花がそこかしこに咲く湿原の景色が描かれている。中央に立つ鳥が咥えているピンクのリボンはわずかな風にたなびき、同色の球体が浮かぶ中空には、何だろう、ジャイロみたいな物体が浮かんでいる。季節は5月か6月か、新緑の緑から夏を前にした少し落ち着いた木々の緑は、早くも空を覆いつつある雲の下でそよ風ぐらいでは微動だにせず、地の滋養、田代の水の栄養、梅雨前後の大気のエネルギーを受け、更なる飛躍を待っているのだろう。白い鳥が咥えるリボンが導く地はどこか、球体が漂う先はどこか、ジャイロみたいな物体は何処を指し示す。尾根の上を飛翔する鳥たちはいまだに行き先を決めかねているようだ。
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